定義と関連法律

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難病の定義

日本における難病の定義は「原因不明」「すぐには治らない」「非常に珍しい」「長期間の療養が必要」の要件に当てはまる病気と定められています。「原因不明」に関しては、発症の機構が不明で病態も未解明な疾病が該当します。「すぐには治らない」は、治療方法がない、あるいは症状の進行を遅らせることはできるが根治には至らない、寛解状態を得られるケースもあるが継続的な治療が必要な疾病です。また、発症してからは生涯を通して症状が持続もしくは潜在する病気も難病に含まれます。
なお、難病の中でも医療費助成の対象と定められたものを「指定難病」といいます。指定難病は第三者的な委員会である厚生科学審議会の意見を基にして厚生労働大臣が指定しています。

難病法について

日本における難病対策は1972年に策定された「難病対策要綱」から本格的に推進されるようになりました。難病対策要綱が策定されてから40年の間、各種事業を推進し実態の把握や治療方法の開発に取り組み、患者の療養環境の改善や看護の質向上、社会的認識の促進に関して一定の成果を上げてきたといえます。一方で、患者やその家族、社会状況、医療技術が日々変化していく中で、治療が難しい難病であっても各種事業・助成の対象に選ばれていないものも少なくないといった課題があります。こうした問題は難病を抱える患者間で不公平感が生まれる原因になります。医療費の助成に関しても都道府県の超過負担が続いており、完全に課題を解消できているとはいえません。難病に関する普及啓発や国民の理解も不十分であるため、長期に渡る療養が求められる難病患者を支える社会基盤はまだまだ整っていないのが現状です。
なお、難病対策要綱は各課題に対して持続可能な社会保障制度の確立を目指した法律に基づく措置として、公平かつ安定的な助成制度の確立や必要とされる各種措置を講じ、難病対策の充実を図ることを基本としています。

法律の目的と基本理念

難病を抱える患者に対する医療や看護、その他関連施策について必要な事項を定めることで、患者に対して質の高い医療を提供し、療養生活を維持しつつ国民保健の向上を目的としています。基本理念は、難病の克服を目指して患者の社会参加の機会を確保、および尊厳を保持しつつ周囲との共生を妨げられないことを掲げています。難病の特性に応じて社会福祉をはじめとした関連施策とスムーズに連携し、総合的に行うことを目標としています。

難病患者の看護に関心のある方へ